なぜ効くの?灸術について

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「灸術について」医学的なお灸の効果

身体のさまざまな症状の改善

人間の身体には「経絡」というエネルギーの通路が、全身をくまなく巡っているとされています。全身には内臓と直結した経絡が14本あり、鍼・灸治療をする上に重要な役目をしています。東洋医学でいうエネルギーとは、人間の生命活動に必要な「気・血・水」のことで「気・血・水」が不足したり、その流れが滞ると身体が不調をきたすと考えられています。いわば、経絡は内臓に直結した高速道路です。高速道路のところどころにはインターチェンジがあります。それと同じく経絡の重要なところに経穴(つぼ)があるのです。病気になればこの経絡の流れが悪くなりますが、この流れを良くするように経穴に灸をするのです。この流れが良くなれば病気が治るのです。


血行が良くなり免疫力が高まる

体に熱刺激を与えることで、刺激直後から急激に皮膚血流量が増大します。局所の充血や貧血を調整し、炎症をやわらげる効果もあります。皮膚の下にある筋肉、血管、リンパ節も刺激されます。細胞が活性化され、免疫作用がアップするほか、リンパの流れも改善されますので、むくみの解消にもつながります。血液やリンパの流れを活発にすることにより治癒を促進することができます。


白血球が増加する

白血球とは簡単にいうと、人体のどこかの組織に細菌が侵入してきますと、血管の中から出て行きこれと戦い細菌を飲み込んでしまいます。そして身体の中で細菌が広がるのを防ぐのです。誰でも知っている「うみ」はその白血球の死骸です。普通正常な白血球は血液1ミリ中に平均7500ですが、施灸後ただちに増加して約8時間から10時間後に約2倍になり、その後少しずつ減少しながら、3、4日間は多少の増加を持続します。灸を据えるとは白血球の数が増して細菌に対応する力を強くするわけです。
 
たいていの患者さんから「お灸をするようになってから風邪をひかなくなりました」といわれるのは、こういう理由によるものです。

赤血球と血色素量が増加する

赤血球は血液1ミリ中、男性では500万、女性で450万が正常ですが、施灸を連続することによって少しずつ増加し、六週間~8週間目に約700万ほどになり、その後施灸を中止するとだんだん減って、施灸前の数に戻ります。
 
このような実験により、赤血球減少症、貧血などに最も効果がある療法の一つと考えられます。それでなくとも血色素量の増加によって、施灸者は血色もよく栄養も充分になり、いかにも健康的になるわけです。

血小板血液中のカルシウムが増加する。

血小板は血液が血管外にあふれた場合、凝固作用を促進するものですから、出血性素因のある人、外科的手術の前準備、手術後の出血予防に施灸することは、血小板を増すとともに、赤血球白血球の変化も考え合わせれば治癒を促進し二次的感染をも防ぐことになります。また、脳出血、喀血、腸出血などの予防にも役立ちます。

※経穴(つぼ)を直接やくことによって、そこにトキソイド(抗毒素)が生まれ、また軽い刺激により身体の抵抗を増すものですから、最近、跡のつかない灸と称して、しょうがなどを乗せてする灸(隔物灸)では、③、④、⑤の効果が得られないことになります。

この①~⑤の作用が関係し合って優れた効果を発揮するのです。

「灸術について」「お灸」はなぜ効くか?

「お灸」というものを知らない人は、「ただの火傷(やけど)でしょう?」「熱いでしょう?」とそのような答えがかえってきます。確かに、お灸はある意味、火傷でもあります。熱いし、痕(あと)ができます。ですが、実際にお灸の治療を受けた人からは、「気持がよい」「後味が爽快である」といった話が聞けるほど、気持ちのいい治療です。
実際に効果があっても、どうして効くのかその理由がわからないと、なんとなく不安であったり、迷信などと勘違いされやすいものですが、医学的に効くことがわかりますと、いっそう安心できるのではないかと思い、なるべくわかりやすく書き上げました。
熱いことの意味、痕のつく意味を理解して治療を始めましょう。理解して治療を始めたほうが効果は大だと思うのです。
なお、熱いといっても子供が我慢できる熱さですし、灸痕は時間の経過と共にきれいになり、どこにあったのかわからなくなるほどの小さなものです。


では、お灸はなぜ効くか?大きく分けると次の3つに分けられます。

  1. まず白血球の数が増し白血球の貪食力が強まる。
  2. 灸を長く続けていると赤血球の数が増し赤血球の色素成分が増量する。
  3. 血小板が増加し血液の凝固機能が高まる。
  4. 血液を弱アルカリの好ましい状態にする。
  5. 抗体などの免疫成分の産出機能が高まる。

などを挙げています。
原博士は、さらに次のように記されています。「この理論では、要するにヒストトキシンさえ作ればいいということで、経穴(つぼ)にこだわらずに灸をすえるところはどこでもいいと思っていたが、実際にやってみると、つぼの選び方で効果に大きな差が生じる」ということでした。

原志免太郎博士は、この力を応用し抗生物質のない時代に結核を治療して数十万人に及ぶ結核患者を助けたとも記録されています。
原博士は、40歳から、自ら毎日「足三里」への施灸で養生し、104歳まで現役医師として活躍し、1991年(平成3年)に当時、男性長寿日本一で、108歳で亡くなりました。

以上のことから、お灸は、血液の毒素を排し、血管を作り、周辺の細胞を代謝させて、組織を丸ごと創り変える治療になるのです。ですから、灸はすえた時だけ効くのではなく、永い時間をかけて治していくのです。そして治ったら長く効果は持続するのです。細胞の入れ替わりは3カ月と言われていますが、個人差がありますし、細胞によっては新陳代謝のサイクルが違ってきます。 長く患っていた人、虚弱体質の人、慢性疲労の人は最低でも3カ月は続けてみる事をお勧めします。時間をかける人ほど、想像以上の良い結果がでるものです。 なお最近では、痕のつかないお灸が流行っていますが、これはまったく似て非なるものです。つまり、火傷毒が発生したかどうかの違いです。火傷毒が発生すると、身体は火傷に対する自動防御作用を働かせます。そこに本来のお灸の効能の基があるのです。火傷毒がないとただ温かくなったと感じるだけで自動防御作用は働きません。


お灸のストレスによる作用

人間になんらかの有害刺激(ストレッサー)が加わると、しばらくの間はそれによるストレスに対抗し身体の活動力が高まり、抵抗力が強まることが知られています(ストレス反応)。この時、腎臓の上にある副腎皮質の働きが活発になり身体を活性化させるホルモン(副腎皮質ホルモン)が盛んに分泌されることもわかっています。
こうした生体のストレス反応を初めて明らかにした「ストレス学説」で有名なセリエは、次のように述べています。

「たいていの傷害刺激はいわゆるストレス(ひずみ)を起こし、全身的な反応を起こす。鍼、灸による刺激も一種の外からの加えられた傷害だから、ストレスを起こすはずである」と。

お灸をすると、その温熱刺激が身体にとって適度のストレスとなるため、そのストレスに対抗して全身が活性化させて抗病力、回復力が高まり病気を回復させる―というわけです。
このような「お灸とストレス反応」の関係については、田多井吉之助博士の興味深い実験があります。

田多井博士は、この実験でマウスを2つのグループに分けて、一つのグループには1週間に5日間だけ背中に施灸をし、それを6週間続けました。他のグループは何もしないままにしました。そして8週目に2つのグループを摂氏3℃の寒冷室に一緒に入れて凍死させ、凍死するまでの時間と副腎皮質の働きを測定しました。その結果、灸をすえたグループの方が長く生き続け、副腎皮質ホルモンの分泌量もはるかに多く、また、肝臓中の酵素の量を調べたところ、だんぜん重くなっていたことがわかったのです。つまり、灸をすえたグループは、すえなかったグループより副腎皮質の働きが活発で寒冷によるストレスに対しても抵抗力があったわけです。


経穴(つぼ)による自律神経の反応作用

「身体は内臓を映し出す鏡」と言います。肝臓の働きが悪くなると、みぞおちや脇の下が張ってきたり、右肩や背中の凝りが出てきます。これは肝臓にきている自律神経の変化が身体の方に行っている脊髄神経に伝わるためです。これを内臓体制反射といいます。この仕組みを逆に利用して、凝りのある部分に手当しますと肝臓の働きが良くなります。これを体制内臓反射といいます。つぼは内臓と結びついているので、臓腑に不調が生じると、その臓腑に関連したつぼに異常が現れます。つぼの状態から体内の不調が把握でき、つぼを刺激することで、その不調を治療できるのです。
終戦後アメリカの占領軍から、鍼・灸の禁止令が出ようとしたことがあります。この時、京都大学の石川日出鶴丸教授が鍼・灸の効く理由について、自律神経学説を用いて説明し、占領軍の了解を得たために事なきを得たことはあまりにも有名な話です。

以上、この3つの作用が関係しあって優れた効果を発揮するのです。


好転反応について

治療の途中で症状が急に悪くなる反応が出ることもあります。この反応は一時的なものですが、たいていの患者さんは悪くなったと勘違いをされます。
これは、「お灸の働きで身体の生命力と病気との闘いが始まり、体内に溜まっていた“病気の毒素”が追い出され始めた」と考えられます。好転反応の現れ方は人によって異なり、反応がはっきり現れる人もいますが、そうでない人もいます。反応が現れた場合、比較的多いのは、「身体がだるい、眠くてしょうがない、気が抜けたようになる」などの症状です。その他には、「肌に吹き出物が出たり、痛みが強くなる、下痢便になる、微熱が出る、全身の虚脱感」などの症状が現れることがあります。このような時は、一般的に薬を乱用しすぎていたり、病気になってから長い期間がたっていることが多いようです。いずれにしても反応が現れるということは、病気がよくなっていく前兆であり、その後はずっと楽になるのです。このようなことを理解していれば、永く安心して灸をすえることで健康を維持することができるのです。「灸据えること、百日、栄血を育む」という言葉も残されております。

少し長くなってしまいましたが、お灸の効果を少しでも理解していただければ、大変うれしく思います。

灸術は体のどの部位の症状にも効果を期待できるものです。
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